○○さん
不倫相手の名前。
夫が そう 呼んていたのを知ってから
わたしはその名前を見るのも辛かった。
同性や 同名なんて 世の中にたくさんいる。
でも、嫌だった。
まったくの別人なのに
離れたいと思うぐらい
名前に囚われてた。
なんの因果か
同じ名前の人と知り合った。
みんなが
○○さんって 呼ぶ。
わたしは 呼べなかった。
主語のない会話。 不自然とわかっていても
私の口から その言葉を発せなかった。
その人が ある日大きな悩みを抱えた。
力になりたい。
励ましたい。
寄り添いたい。
口をついて 出た。
「大丈夫?
わたしは○○さんを応援してるよ」
って。
その場を離れて
なぜか 涙が溢れた。
泣けて泣けてしかたなかった。
何の涙?
(自分を抱きしめてあげたい)
そんな 気持ちからくる 涙だったと思う。
なんてことない 小さな話かもしれない。
でも わたしは きっと 一歩 前に進んだんだと思う。